どう見る!バニラエアのトラブル
|今月、奄美空港でLCCのバニラエアに搭乗しようとしていた男性が、自力での歩行ができないことを理由に一時搭乗を断られたものの、男性は同行者らが見守る中、タラップのステップに腰かけ、一段一段を腕の力だけで登って搭乗した。男性は人権侵害ではないかと疑問を呈した。
ボーディングブリッジ少ないLCC
バニラエアはANAの100%子会社だけに、様々な乗客への対応や、トラブルの際の対応はANAのマニュアルが参考になっていると推測されるが、サービスに当たるスタッフは必ずしもバニラの職員でないこともあってか、今回のケースも応対にちぐはぐな点が見える。男性のブログによると、奄美大島へ行くための関西空港発の便でもバニラエアに搭乗を断られているが、この際も同行者がアシストすることで搭乗可能となった。
LCCは成田や関西などの拠点空港でも、LCC専用のターミナルを使っていることから搭乗橋がない場合が少なくない。障害を持った乗客もタラップで搭乗出来るよう、全ての空港にアシストストレッチャーが用意されるべきだが、今回のトラブルの際には奄美空港にはまだ配備されていなかった。
90秒ルール
男性は歩行が困難である事実を予約の際には開示していなかった。健常者同様、バリアフリーでいつでも利用できることが望ましいが、たとえANAやJALなどのフルサービス・キャリアーでも、車いすの場合は事前に連絡を入れることがスムーズでストレスのない利用に繋がると思える。
航空機には、緊急着陸など事故の際、搭乗者全員が90秒以内に脱出できなければならないルールがある。航空機設計の際のシミュレーションでは、乗客の何割かを幼児や高齢者、それにハンディキャップを持った人を想定し、非常口も半分しか使えない条件の元、90秒での全員脱出が課せられる。それを元に乗客定員や非常口の数や広さなどが決まる。
もしハンディを持った乗客が同じ便に何人も重なった場合、たとえ空席があっても航空会社としては安全確保上、断らざる得ない状況もあるだろう。その判断は航空会社に委ねられる。事前の情報があれば、適切なケアの準備も出来るし、難しい場合は前後の便へ振り返るなどの対応も出来るだろう。
利用する側もルールに則った対応、たとえ緊急の旅であっても可能な限り情報を事前にいれる必要があるだろうし、エアライン側もハンディを持った人達の旅の機会を奪わぬよう、しっかり応える必要がある。万が一断らざる得ない時は、なぜ対応できないのかしっかり説明されるべきだ。