増える外国人患者のトラブル

先月沖縄を訪れていた台湾からの新婚さん、妻が早産で緊急入院したものの医療費が全額自己負担で600万円にも上り途方に暮れていた。これを聞きつけた琉球華僑総会が募金を呼び掛けたところ、日本全国から1200万円もの寄付が集まり、無事出産できたという一件があった。

医療費未収となる医療機関も

一方では未払いのまま帰国も

この様に日本へ入国後、思わぬケガや病気に見舞われた場合、たとえ軽い症状でも医療費の全額負担で請求額に驚くケースも少なくない。

国土交通省北海道運輸局が、北海道内の医療機関に行った調査で、2013年度からの3年間で390の医療機関のうち28施設で、治療費が支払われていなかったことが分かった。中にはバス事故で10人以上が治療を受けたが、全員分が未払いとなったケースや一度の未収が100万円を超えるものもあったという。黙って帰国したり、帰国後連絡が取れなくなるなど悪質なケースもあるが、390の医療機関のうちクレジットカードを使える施設がわずか135と、多額の現金を用意できない旅行者にとって不便な状況も明らかとなった。

これらの状況は北海道に限らず、国際線の便が多い空港近くの診療所では旅行保険にも入っておらず、クレジットカードも持たない外国人急患の未収事案が後を絶たないという。

対策に空港で訪日後保険の加入促進も

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訪日後に加入できる旅行保険も

観光庁の調べでは、外国人旅行者のうち旅行保険に入っていない旅行者はおよそ30%にもなる。そんな旅行者を救済出来る、訪日してから加入できる保険があった。個人むけの「訪日旅行保険」がそれで、30日以内で病気やけがの治療費をカバーはもちろん、途方に暮れる旅行者へ医療機関紹介や医療通訳のアドバイスサービスもある。海外旅行保険が普及していない国もあるだけに、入国するインバウンドにこのようなサービスがある旨を空港でPRし、加入を進める対策も必要ではないか。