カメラは見ている
|東京の地下鉄2社、東京メトロと都営交通の全車両にセキュリティカメラが取り付けられる。車内トラブルや犯罪の抑止に期待がかかる。
広がる監視カメラで痴漢は減少
東京メトロは、2018年度から順次、都営地下鉄は今年の8月から設置を始め、両社合わせておよそ4000両のすべての車両に取り付けられる。東京メトロは出入り口の上部に、都営は天井部分に取り付けられ、ほぼ車内全部を監視できる。車内での乗客同士のトラブルはもちろん、つり革の盗難や、座席を傷つけたり、わざと汚したりするいたずらへの抑止にも期待がかかる。車内監視カメラは痴漢の被害が多いJR埼京線でも2009年に試験導入が始まって以来設置が進んでいて、実際痴漢の被害も減少して効果を上げている。また東急電鉄などでも設置が広がっている。海外でも上海や北京の地下鉄では、既に全車両にセキュリティカメラが装備されている。
プライバシー侵害への反発もあるが、電車内に限らず、街中でも監視カメラが広がっている現状からか、設置を是認する声が高いようだ。日本防犯設備協会のサイトによると監視カメラを含む、防犯設備推定市場の移り変わりは右肩上がりで、2015年には1兆2千億円余りにまで上昇している。
監視カメラで犯罪も一層の劇場化
セキュリティカメラは、人の集まる交通機関は特に集中していて、駅や空港はその最たる場所だが、クアラルンプール空港での金正男氏暗殺現場での映像の多角ぶりには驚かされた。あらゆるアングルのカメラが、タイムラインに沿ってとらえられていた。映像処理をすることで解像度もかなり上げることが出来、報道番組で言われる「カメラがその一部始終を見ていました」が現実となっていた。恐ろしいことに、間もなく息絶える正男氏が、背後から襲われ、その後空港の係員に被害を訴え、空港の診療所に入っていく様が分かり、これに続く“診療所内部の映像もあるのだろう“と推測できるほどだ。