海の底で熟成を待つワイン

北海道の日本海に浮かぶ奥尻島の奥尻(おくしり)町では、島特産のワインを海の底に沈めて熟成する実験を行っている。美味へ変化した場合、ユニークなワインとしてブランド化を図る方針だ。


潮の香が特徴の離島ワイン

奥尻島では27haのブドウ畑に北海道では珍しいメルローやシャルドネ、山葡萄など約65000本のブドウを作付けして育てている。奥尻ワインは外からの原料を入れず、島で育てられたブドウだけを使っているが、海からの風のおかげで、土壌はミネラル分が豊富で(内陸の畑に比べ土壌のミネラル含有量は50%も多い)もちろんワインにもミネラル分が多く含まれている。
ブドウ畑イメージ

海のゆりかごで育てるワイン

元々このように特徴のあるワインだが、「難破した船から発見されたワインが優れた味となっていた」との逸話から奥尻町が海中熟成にチャレンジしたもの。奥尻ワインから白、赤、ロゼを140本買取、8月に奥尻港内の海中に沈めた。来年2月に引き上げ、北海道立工業技術センターで成分を分析する。町では、美味なワインが生まれたら、離島ワインにさらに付加価値が生まれると期待している。海のゆりかごに熟成を委ねる試みはフランスなどでも行われているほか、伊豆半島でもワインの他日本酒の海底熟成も行なわれている。
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雑学ライブラリー
テロワール(Terroir)

“土壌や気候などによる生育環境”とでも訳する単語で、もともとはフランス語の土地を表す単語に源がある。奥尻ワインのHPには、テロワールは「その土地ならではの特性、その醸造者ならではの人格がにじみ出ている・・」と書かれている。潮の香りが乗った奥尻ワインのテロワールは明確と言えそうだ。