沿線火災で小田急燃えた

10日午後4時過ぎ、東京渋谷区内でボクシングジムとなっている木造3階建ての建物から火が出て、一時大きく火の手が上がった。建物は小田急線の線路わきで、火災のため現場で停止した車両に火が燃え移ったことから、乗客が線路上に降りて避難する事態となった。幸い、乗客や火元となった建物の関係者などにけが人は出ていない。

延焼したのと同型の車両

なぜに燃えた電車

 

現場は小田急線の参宮橋駅と代々木八幡駅の間で、付近の人達が撮影した現場映像では、火は電車の屋根に燃え移り、大きな火の手が上がっている。燃えた電車は新宿行きの各駅停車で、踏切で非常停止ボタンが押されたため、現場で緊急停止し、8両編成の前から2両目の車両の屋根に延焼し、およそ15㎡を焼いた。

燃えたのは3000系の車両で、車両自体はステンレス製で可燃性は無い。屋根上の冷房ユニットなどではなく屋根そのものから火の手が上がっている様子がうかがえるため、燃えたのは表面の塗料かと推測するが、炎の上がり方に驚いた。小田急線は新宿駅を始め、地下区間も多い。他の車両は地下鉄千代田線へも直通する。車両の難燃化は完璧なのか、利用者としては心配になる映像であった。

桜木町で、燃え上がる電車(1951年)

 

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かつては車両火災の大事故も

 

大きな事故となった車両火災は、1951年(昭和26年)当時の国鉄、京浜東北線桜木町駅付近で起きた電車火災で、電車が全焼、乗客106人が亡くなった。垂れ下がった架線が車両に触れ、可燃性の塗料から火が出てあっという間に燃え上がった。当時の車両は木製で、しかも窓は真ん中が固定されて、その上下の小さい空間が開くタイプで、人が脱出できる空間ではなかった。またドアが開かず、前後の車両へ移動もできない構造だったため、満員の乗客はなす術もなく焼死した。この事故を契機にドアに非常コックが取り付けられ、非常時には乗客がドアを開けられるように改修された。