鉄路、道路両用車が四国でデビューか

列車であって、バスでもある。線路と道路を、切り替えひとつで走ることが出来るDMV(デュアル・モード・ビークル)。2020年世界で初めての運用を目指して、四国の阿佐海岸鉄道が運転士の募集を始めた。

デュアル・モード・ビークル

世界初の乗り物、運転士募集

阿佐海岸鉄道は、徳島県海陽町の海部(かいふ)駅と高知県東洋町の甲浦(かんのうら)駅を結ぶ8.5㎞、乗車時間わずか11分のミニ鉄道だ。一部の列車はJRに乗り入れ牟岐駅まで直通する。

DMVの計画では、阿佐海岸鉄道線内は列車として走り、甲浦からは室戸方面へ国道を走行する。

募集している運転士は20歳以上の2名で、さすがにDMVの運転士だけあって、採用後、中型二種免許を取得することが条件となっている。

レールが途切れる甲浦駅からは国道を走行

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DMVとは

YouTubeの公開画像から

鉄道と道路をシームレスで走ることが出来る車両は、旧国鉄でもチャレンジしたことがある上、イギリスなど他の国でも開発しているが、実用化はいずれもまだのようだ。今回のDMVの先駆けはJR北海道だ。DMVだと鉄道駅で乗り換えることなく同じ車両で、病院や学校など行きたいところへバスとなって走ることが出来る。輸送力の少ないローカル線を、少しでも便利にして利用者増につなげようという発想だ。しかもベースになっているのがマイクロバスなので、車両は電車などよりはるかに安く作ることが出来る。

JR北海道では2002年に開発プロジェクトチームを発足、連結できる車両まで作り、試験営業運転にまでこぎつけていたが、特急列車など本体での事故が相次ぎ、安全問題を問われてDMVの開発を断念した。しかし注目を浴びていた技術だけに、これまでも静岡の岳南鉄道や南阿蘇鉄道でも試験走行を行っている。阿佐海岸鉄道が火付け役となってDMV営業運転が広がることに期待したい。