ドクタードッグが,ガン検診         

女性の胃がんによる死亡率が全国一の、山形県最上地域に位置する金山町(かねやまちょう)が、ユニークながん検診を取り入れ、注目を浴びている。

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犬の嗅覚でガンの早期発見

 

この検診は、人間の数百万倍にもなる、犬の嗅覚を利用するものだ。ガンが発する臭い物質(ガン特異的揮発性バイオマーカー)の分析から、がんの早期発見研究を進めている日本医大千葉北総病院が、研究の一環として協力する。

受診者は採取した尿を、町を通して千葉北総病院へ送り、結果を待つだけだ。サンプルを受け取った病院では、がん探知犬を使って臭い判定を行うが、探知犬はガン患者の尿を見つけると態度で知らせる。これまでの研究では、初期の小さながんでも100%嗅ぎ分けるという。がんが見つかった場合には、最新装置を使ってがんの種類や部位を特定し、町立の診療所などがフォローする。

犬の嗅覚によるがんの探知は一般人を対象とした実績がなく、金山町の取り組みが初めてだ。今回の金山町の取り組みをきっかけに、がん探知犬研究の進展や、探知犬の育成が進むよう期待を寄せたい。

ガン患者の尿に反応するのはイヌだけではなく、線虫も敏感に反応する。小欄4月20日記事「がん検診に日本発の革命」を参照ください。

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雑学ライブラリー

PETでがん発見

 

欧米ではがんが疑われた際は、まずはPET診断。と言われているが、日本ではまだどこの病院でも受けられるほど拡大はしていない。全身スクリーニングでは、10万円ほどにもなる高額診断が普及を妨げてもいる。それに比べるとドクタードッグや線虫での診断は費用も体の負担も少なく画期的と言える。しかし部位の特定となるとやはりPETなのか。

PET診断の仕組みはこうだ。がんに侵されている細胞は他の細胞より活発なため、栄養素となるブドウ糖を正常細胞より3~8倍もの量を取り込む。マークを付けたブドウ糖(FDG)を注射し、その後機器を使ってFDGが集中している場所を見つけ出す。そこががんに侵されている部位だ。