自販機に寄り添う思いやりの傘
|梅雨入りとは言え、今のところはカラ梅雨傾向。それでも予報画面には雨マークが増えてきた。いざという時必要な傘、うっかり持たずに出た際はコンビニに飛び込んでビニール傘の調達が定番だが、自販機に寄り添うレンタル傘が話題だ。
これまでは「帰らざる傘」
自販機に設置した傘の無料貸し出しを行っているのは、大手飲料メーカーのダイドードリンコ。社内の発案で、昨年10月から関西地区で試行を始めた。無料の傘の貸し出しは、函館や札幌の路面電車内、名古屋の地下鉄などで行っているが、返却率が恐ろしく悪く、貸し出した傘の1割しか返ってこなかった函館ではあえなく一年で中止となった。
返って来るブーメラン・アンブレラ
ダイドードリンコが大阪の自販機60台で始めたレンタル傘は、試行期間中およそ7割が戻ってきた。このためダイドードリンコではエリアを関東や名古屋地区にも広げることを決め、今月から11の都府県の自販機340台に、思いやりの傘を順次設置して行く。傘は電車や駅の忘れ物からのリサイクルで、それぞれの地区の4つの私鉄が協力している。ダイドードリンコの傘がしっかり帰って来るのは、使い捨て感覚のビニール傘ではなく、こうもり傘然としたしっかりした傘であること、さらに傘にダイドーのロゴや、目立つタグが付いていることが、決め手のようだ。もちろん善意に善意で応えて返却してくれた人も沢山いただろう。お礼の手紙がそえられていたこともあったという。 ダイドードリンコ(株)の資料より
雑学ライブラリー
雨、傘のことわざ
「濡れぬ先の傘」のように何事にも用意万全、とはなかなかいかないもの。使い捨ての時代が傘の返却率を悪くしているのかと思ったら、「傘と提灯は戻らぬつもりで貸せ」とのことわざがあった。いったん借りても、必要のない時にはなかなか思い出さないのが「傘」だ。貸す時は返ってこないものと思って貸せということわざ、昔から借りた傘はなかなか帰ってこなかったようだ。