赤ちゃんへのスポ飲、水代わりはダメ

暑い時や、スポーツ後の水分補給に重宝されるイオン系飲料、水代わりの大量摂取は、乳幼児の健康を損ねるケースがあることが、日本小児科学会などの調査で分かった。

 

ビタミン欠乏で健康被害のケースも

写真とは無関係です

イオン系飲料は、汗として体から排出されるナトリウムやカリウムなどを補給するもので、浸透圧が人間の体液に近く、吸収されやすくなっている。特にこれからの季節、熱中症対策などで、日常の水分補給に飲むケースが増える。しかしいずれの製品も「大量に飲むとお腹が緩くなることがあります」との注意書きがあり、大人でも過度の摂取には注意を促している。

乳幼児にとってはこの糖分が虫歯の原因となるほか、離乳食やミルク代わりにこれらの飲料を与えると栄養が偏り、ビタミン不足に陥ることある。小児科学会の調査では、生後7か月から2年11か月の乳幼児33人(1986年以降のデータ)が、イオン系飲料の過大な摂取によりビタミンB1の欠乏症に陥って、意識障害を起こすなどの健康被害が出ている。このうち1人が死亡している。脱水症状などの場合は、乳児用のイオン飲料を与え、症状が軽くなったらイオン系飲料は止めるなどの配慮が必要だ。

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熱中症対策では有効

写真はイメージ

子どもは、体全体の水分割合が大人より多い上に、体温調節機能が未熟だ。

更にベビーカーは、熱いアスファルト路面に近いだけ、想像以上に高温となっている。直射日光を避けようとベビーカーのフードを降ろしていると、なおさら暑く、脱水症状を起こしてしまいやすくなる。こんな時には水よりもイオン飲料が有効だ。水だけだと体液の濃度が薄まるのを防ぐため、体が水分を必要としているにも関わらず、のどの渇きが納まってしまう事もある。

もちろん、暑くもないのにイオン飲料に頼ったり、ミルクの代わりに飲ませてしまう事は避けるべきだ。(この項の参考:大塚製薬サイト)