消える東京銀行
|新聞発表によると、三菱東京UFJ銀行が、名称から東京を外し「三菱UFJ銀行」とすることを決めた。(ただし当の三菱東京UFJ銀行は「まだ検討中で、決定は見ていない」と発表している)
長い名前は合併の産物
今回の名称変更は、長すぎる行名を少しでも短くしたいとの思惑のようだが、銀行は次々と合併、吸収を繰り返したため、長い間存在した都銀13行時代の名称を正確に唱えるのは銀行員でも難しい。UFJを13行時代に置き換えると“三菱東京三和東海”となる。(UFJ銀行には、都銀ではない東洋信託も加わっている)
由緒ある“東京”の名前が消えるのは残念だ。東京銀行はもともと外国為替の専門金融機関として発足しているだけに、都市銀行であったものの、個人向けの金融機関とはカラーが異なり、国際金融を得意とした金融機関のスマートさが感じられた。BANK of TOKYO の頭文字を取って通称BOTと呼ばれていた。
雑学ライブラリー
横浜正金銀行
東京銀行の前身は1880年(明治13年)に明治政府が設立した、横浜正金銀行で、やはり外国為替と貿易決済を目的とする特殊銀行だった。アフリカや南米を含む世界の全ての大陸(もちろん南極は除く)に60もの支店や出先を置いて、日本の海外進出をささえた銀行であった。世界中に当時の支店の建物が残り、歴史的建造物となっている所も多い。極東ロシアのウラジオストクにも支店があり、レンガ造りの建物は、市の歴史博物館となっている。
横浜市中区のかつての本店は、神奈川県立歴史博物館となっている。横浜正金銀行の歴史はある意味日本の歴史でもある。一見をお勧めする。横浜正金銀行は終戦とともに姿を消し、1946年(昭和21年)新たに東京銀行としてスタートしている。