北方領土へ空から訪問が実現へ

先の日露首脳会談で合意した北方領土への空路を使った墓参は、6月にも実施で固まっているが、どのように行われるのか注目だ。

(続報)

残念ながら6月の島訪問は、悪天候のため飛行機が飛べず、中止となりました。

わずか3.7㎞の距離が・・

北方領土は、北海道の目と鼻の先で、歯舞群島の貝殻島は納沙布岬とわずか3.7㎞しか離れていない。さらに国後島との距離も最短地区では16㎞に過ぎない。距離はこのように近い島だが、実際に行くにはとっても遠い。

交通機関は船に限られているが、どの島も港が整備されておらず、上陸には艀が必要だ。天候が悪いと艀に乗り移ることが出来ず、船内で何日も足止めをされることもある。墓参などに訪れる旧島民はみな高齢で、大きな負担となっていた。空路での領土訪問が実現するのは喜ばしい。

かつて2000年にも、サハリン航空(現在はオーロラ航空)の飛行機を使って中標津空港から国後のメンデレーエフ空港を直接結んだことがある。今回も同様にオーロラ航空の飛行機をチャーターして、中標津空港と国後、択捉の空港を結ぶ計画だ。日本の立場からすると日本の国内線を外国の飛行機が飛ぶこととなる。

国後島のメンデレーエフ空港(撮影1991年)

中標津空港から国後のメンデレーエフ空港は直線距離で70㎞ほどしかない。この区間に航空路は設定されていないので、有視界飛行で、わずか数分で飛んでしまうだろう。何しろ中標津空港はジェット化の際に、離着陸する飛行機が北方領土の空域に食い込んでしまうとして、滑走路の方位を変えるため新たな滑走路を新設した経緯がある。

雑学ライブラリー

わずか数分の空路を探してみると

チャーターなどではなく、航空ダイヤに載っている定期航空路で最も短い路線を探してみた。国内では日本航空(実際の運行は琉球エアコミューター)の北大東島と南大東島を結ぶ路線で、一日一便ダイヤ上は15分で結ぶ。稼げるマイル数は8マイル、キロに直すと12.8㎞だ。最短時間では4分ほどで飛ぶ。

世界にはもっと上があるもので、スコットランド、オークニー諸島のウェストレー島とパパウェストレー島を結ぶ路線で、地元のエアライン、ローガン航空が運航している。距離はわずか3㎞で、飛び上がってから着陸するまで2分とかかっていない。

中標津と国後を結ぶ空路も、領土の共同開発が実現すると、世界の珍しい短距離空路として人気がでそうだ。実現を心待ちにしたい。

世界最短航空路を動画で