あの二枚目俳優が引退

今では“イケメン”だが、彼の時代は“二枚目”。日本で絶大な人気を博していた往年の二枚目俳優、フランスのアラン・ドロン氏が俳優を引退すると宣言した。

アラン・ドロン2度目の引退

アラン・ドロン氏は既に81歳。彼がフランスの通信社に語ったところによると「人生は終わりではないが、現役には終止符を打つ」と俳優引退を宣言した。

1935年生まれのアラン・ドロン氏は1957年にスクリーンデビューしたが、1960年に主演した「太陽がいっぱい」で若き殺人者を好演し、一躍トップスターに躍り出た。この作品は、後にレオナルド・ディカプリオ主演で、小説の原題の「リプリー」として再度映画化されたが、アラン・ドロンのイメージが強すぎた。日本でもこの作品から人気に火が付いたが、人気ぶりはヨーロッパ以上で日本は彼にとって特別な国となった。

アラン・ドロン氏は2000年にも一度引退宣言をしているが、数年後に復帰していた。今回はまだ舞台とスクリーンで最後の仕事が残っているが、それを終えて本当の引退となる。

彼は70本以上の映画に出演していて「太陽がいっぱい」に限らず「地下室のメロディー」「ボルサリーノ」など人気作品は数多いが、個人的に最も好きだったのは「さらば友よ」。アラン・ドロンと共演のチャールズ・ブロンソンの男の友情が、観る者の胸を熱くさせた。チャールズ・ブロンソンもここから日本での人気が急上昇した。

アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン

欧米、特にヨーロッパの大スターは容易にテレビCMへの出演はしないものだった。それが世界をときめくトップスターの アラン・ドロンが、日本のブラウン管(ブラウン管も既に死語だ)に登場したので、本当に驚いた。1970年代、レナウンのメンズウェア“ダーバン”そしてマツダのスポーティーカー“カペラ”。アラン・ドロン氏を口説き落とすのには大変な苦労があったようだ。

そして“さらば友よ”のチャールズ・ブロンソンも男性化粧品“マンダム”の顔となってCMを大ヒットさせた。メーカーの「丹頂」は売り上げの減少から窮地にあったが、このCMで経営を持ち直したという。