乳児の食品リスクは蜂蜜だけにあらず
|先月、東京都内で生後5か月の乳児が、蜂蜜による乳児ボツリヌス菌で亡くなったことで、国や都は、乳児への食品リスクは蜂蜜に限らないとして、改めて注意を呼び掛けている。
ボツリヌス菌の怖さ
厚労省によると、亡くなった乳児は、発症する1か月前から市販のジュースに蜂蜜を混ぜたものを与えられていたが、2月の中旬にけいれんなどの症状で救急搬送され、3月30日に死亡した。便や自宅に残された蜂蜜からボツリヌス菌がみつかっている。ボツリヌス菌は土の中や川など身近に存在し、大人は問題ないが、1歳未満の乳児は腸内環境が整っておらず、かえって腸の中で毒素を出し、中毒を起こす。乳児ボツリヌス症は、医師の報告によるものが1999年以降16例あるが、痛ましいことに、死亡したケースは今回が初めてだという。
蜂蜜がクローズアップされているが、ボツリヌス菌は蜂蜜に限らず、井戸水やコーンシロップ、それに自宅で作った野菜スープなどからも検出されている。厚労省では、離乳期に新しい食品を与える場合は、スプーン一杯から始め、様子を見ながら徐々に摂取量を増やしていくなどの慎重さが必要としている。蜂蜜が1年未満の乳児には危険な食品であることは、子育て世代には浸透してきているが、古い知識に基く祖父母は、危険さを知らず与えてしまうケースもあり注意を呼び掛けている。
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本来殺菌力の高いタフな食べもの
乳児ボツリヌス菌と矛盾するようだが、蜂蜜は殺菌力が高く、唯一腐らない食品と言われている。赤痢菌は10時間、恐ろしいチフス菌でも48時間で死滅する。アメリカの考古学者デービス博士が1913年エジプト、ピラミッドの発掘調査で、およそ3300年前の蜂蜜を発見したが、壺の中の蜂蜜は全く傷んでいなかった。人類はおよそ一万年前から蜂蜜を食べ、5千年前には養蜂を行って蜂蜜を手にしていた。蜂蜜酒を新婚カップルが飲むことでハネムーンと言う言葉が生まれている。