がん検診に日本発の革命

日本人の3人に一人がガンで命をおとす時代、しかし時間もかかるし、分かってはいるが、企業の健康診断すら腰が重い。それが何の手間もいらず、検査機関にわずかなおしっこを提供するだけで、精度の高いがん診断が出来るようになりそうだ。画期的!

あらゆるガンを線虫が臭いで診断

様々な病気には特有の臭いがあるらしい。犬もがん患者の出す臭いをかぎ分けるが、この研究で使われたのは1ミリほどの線虫。糸状の虫で、農作物には害虫だが、がんを嗅ぎ分けに使われた線虫は“Cエレガンス”と、なんとも高貴な名前を持っている。九州大学発のベンチャー“HIROTSUバイオサイエンス”が研究を重ね、自動検査システムを日立製作所が開発した。

Cエレガンスは、がん患者の尿には吸い寄せられ、健常者の尿からは遠ざかる。この性質を利用して実験を重ねたところ、がんと診断できる確率は95.8%で、同時に検査した腫瘍マーカーに比べ圧倒的に精度が高かった。ステージⅡ以上のガンでは100%の感度を示し、ステージ0やⅠの早期がんでも同様に高い精度を示した。さらに、試験を行った10種のガン、すべてに同様の結果がでており、早期発見が難しいすい臓がんの初期ステージも発見できている。

他にも利点は数多い。まず被験者は苦痛もなく便利。サンプルの尿はわずか一滴で良く、事前の食事制限などもする必要がない。さらに医療機関へ行く必要もなく地域間格差も発生しない。診断が出るまでわずか1時間半、しかもコストは数百円で、自動化されるとさらにコストダウンが期待できる。また安価なため開発途上国でも無理なく採用できそうだ。

今のところガンに対するYES、NOがはっきりするだけで、がんの種類は特定できないが、早期発見が可能なだけに、医療費の削減にも効果が期待できる。

ガン患者の尿には白く見える線虫が集まっている(上の写真)

健常者の尿からは線虫は遠ざかっている(下の写真)

九州大学のHPから