いつまで続くポテチ争奪戦
|この欄で既に紹介(4月11日)した通り、北海道の昨年の台風被害で、原料となるジャガイモが不足し、ポテトチップスの生産が落ち込んでいる。買い占めに走るファンもいて、品薄となるスーパーも出ている。
オークションサイトで高騰も
カルビーや湖池屋など大手メーカーでは、一部の製品を生産終了したり、休止したりしている。SNSではポテチ全体の生産がストップしていると誤解をしている消費者もいて、誤ったポテチロスのうわさも広がっているようだ。
オークションサイトでは沢山のポテチが出品されていて“入手困難”などのコメントが躍り、初値700円のチップス4袋に12,000円の価格が付くなど、異常な事態も見られる。また各地のスーパーでも、ポテチ不足のニュースが出始めたころから売れ行きはのびていて「お一人様3袋まで」など購入制限を付ける小売店なども出ている。メーカーでは生産休止に追い込まれている製品も「なるべく早く再開にこぎ着けたい」としている。いずれにしても今年は天候に恵まれて、豊作になることを願いたい。
雑学ライブラリー 千両ミカン
上方(大阪)落語の「千両みかん」は、大金持ちの息子が病気となり、8月の暑い盛りにみかんが食べたいと言う。「みかんが無ければ、息子の命はあとわずか」と聞き、父親は番頭にみかんを探すよう命令する。青果問屋の蔵の中に残っていた50箱のみかんは、ことごとく腐っていたが、中に一つだけ健全なみかんが残っていた。息子の命には代えられないと、父親は番頭に命じて、みかん一個を千両で買わせる。息子は10房のうち7房を自分が食べ、残りの3房を父母と祖母に食べて欲しいと番頭に伝える。千両もの大金を出して手に入れたみかん、1房が百両、3房で三百両だ。番頭は「自分が生涯かかっても稼ぐことの出来ない金だ」とみかん3房を持って逃げる。
みかんは、病気の息子と、それを助けたい父親にとっては千両の価値があるが、他の人にとっては、たとえ真夏のみかんであったとしても、そのような価値は無い。番頭がこの二つの価値を混同して、みかんを持って逃げるところに噺の滑稽さがある。12,000円の価値がついたポテチに、千両みかんを思い起こした。
ちなみこの噺は東京落語でも演じられ、みかんを千両で売った青果問屋に、神田須田町で1846年(弘化3年)に開業し、2012年に店を閉じた実在の“万惣”が登場している。