緊張の半島へ主力空母を展開

トランプ大統領は矢継ぎ早であった。今月7日にシリアの軍事施設に巡航ミサイル攻撃を敢行、その翌日にはシンガポールからオーストラリアへ向かう予定の、空母カール・ヴィンソンに対し、朝鮮半島近海への展開命令を出した。

「無敵艦隊の派遣」と報道

空母カール・ヴィンソンは1982年に配備され既に就役から35年目となる。下院議員のカール・ヴィンソン氏にちなんで命名された。空母は、東芝を窮地に追い込んだウエスチング・ハウス製の原子炉2基を動力源として、90機の艦載機と6千名近い将兵を載せている。

艦隊はカール・ヴィンソンに加え、駆逐艦2隻と巡洋艦1隻の合わせて4隻がチームとなって半島近海に展開している。トランプ大統領はこの艦船の派遣を「We are sending an armada,very powerful. We have submarines,ver powerful」と語りArmada(アルメダ) という単語を使って表現している。

Armadaは16世紀にヨーロッパで覇権を誇ったスペインの無敵艦隊を指す単語で、メディアの中にはトランプ大統領が北朝鮮に対し「我々は強力な無敵艦隊を送った」と報じたものもあった。しかしアルメダは大編成の艦隊の意味もあるため、今回は“強力な艦隊を派遣した”が正しいだろう。

平壌市内

無敵艦隊とは違った意味も

北朝鮮の指導者は“弱みを見せては体制維持が出来ない”ために、引き金に指がかかりっぱなしの瀬戸際外交を続けるつもりだ。一方トランプ政権もシリア攻撃、空母の派遣と「忍」のオバマ政権とは異なり、軍事的な展開を矢継ぎ早に打ち出している。緊張の糸が解けるタイミングはやってくるのか。

無敵を誇ったスペイン艦隊は、イングランド艦隊に大敗北を期したことからアルメダは自信過剰の比喩にも使われる。