あなたの携帯から生まれる 2020金メダル

2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は大会で贈られるメダルを、携帯や小型家電などのリサイクル金属から作り出すことを決め、来月から本格的に呼び掛ける。

ウィナーへのメダルは都市鉱山から

メダル5000個をリサイクル金属から

「都市鉱山から作るみんなのメダルプロジェクト」と名付けられたこの計画は、不要になった携帯電話やコンピューター、小型家電などに使われている金属を抽出してメダルにリサイクルするものだ。組織委員会では金、銀、銅合わせておよそ5000個のメダル全てをこのプロジェクトで賄う予定だ。

これまでも五輪メダルにリサイクル金属が使われたケースはあるが、広く国民に呼びかけてリサイクルに参加してもらうのはオリンピック・パラリンピック史上初めての事だ。日本の技術力を活かして金の精練におけるリサイクル率100%を目指す。

本格な呼びかけは4月に入ってからスタートする。回収は全国のドコモショップで携帯、スマホ、タブレットの受け入れを始めるほか、全国の参加自治体では小型家電も含めた回収窓口を設ける。

この中から希少金属を

都市鉱山に眠る金属を発掘

 

都市鉱山は、携帯や小型家電の出荷量などから、埋蔵量が明確なうえ、すでに加工のプロセスを経て集約して使用されているものだけに、天然鉱石より高品位だ。さらに採掘や精錬も不要なため、省資源、省エネといった特徴もある。

都市鉱山には、希少金属を含む幾種類もの金属が眠っているが、金はおよそ6800トン、銀はおよそ6万トン、銅に至っては3800万トンにも達する(国立研究開発法人、物質・材料研究機構)また環境省によると小型家電は年間65万トンが廃棄されているが、そのうちおよそ28万トンが貴重な金属で、金額にして844億円にもなる。ただリサイクルは思ったほどに進んでいない。携帯電話でも1台から回収できる金属は100円程度で、コストをいかに低くできるかがカギとなる。今回の「みんなのメダルプロジェクト」が、リサイクル意識を高める一つの梃子となることにも期待が寄せられている。