都電荒川線にニックネームを
|最盛期には213㎞もの路線網を持っていた都電、残るのは荒川線の一本のみとなってしまった。荒川線は今も日におよそ5万人を運ぶ大事な生活路線だが、その荒川線にもっと親しんでもらおうと、交通局では愛称募集を始めた。
インバウンド意識の愛称
都電荒川線は早稲田から荒川区の三ノ輪橋までを結ぶ12.2㎞で、東京の古くからの下町を走るだけあって停留所も謂れのある名称が多い。面影橋(おもかげばし)鬼子母神前、飛鳥山(あすかやま)などだ。これら名所旧跡に加え、桜やバラなど花見の名所もあることから、最近は外国人の利用者も増えている。愛称はこれらインバウンドにも親しんでもらえるような、分かり易い名前を付けようというもの。都民に限らず誰でも応募することが可能で、はがきか東京都交通局サイトの特設ページから応募できる。「東京○○トラム」の○○部分を8つの候補の中から選んでもらうもので、候補は「ローズ」、「フラワー」、「ノスタルジック」、「クラシック」、「さくら」、「ブルーム」、「レトロ」、「レガシー」で、さくらを除いてすべて英語、インバウンドを意識したものとなっている。
都電は1972年(昭和47年)までに多くの路線が廃止となったが、荒川線だけは住民からの強い要望があり存続することとなった。他の線区は道路上を走っていて、車の渋滞を引き起こす元凶として”逆恨み廃止”に追い込まれたが、荒川線は多くが専用軌道を走っていたため、車との競合がなかったことも存続に道を繋げた。
世界中で復活するトラム
路面電車がトラムあるいはライトレール(LRT)と名前を変えてから(名前だけではなく次世代型の乗り物に発展している)欧米を中心に廃止路線の復活や新たな開業が増えている。日本でも富山のライトレールと市内を走る富山地方鉄道市内線の延伸ループ化。札幌市電の同じく都心ループ化など新たなレールが敷かれるケースが増えてきている。札幌はさらに延伸計画があるし、栃木県の宇都宮ではライトレールの導入を計画していて、今月市議会でLRT推進決議がなされ、整備にGOサインが出された。
トラムは街の規模・機能を集約してコンパクトにまとめた、コンパクトシティ構想にマッチする乗り物として今後、日本でも伸びて行くだろう。