フェイクが呼んだ罪と罰
|トランプ政権の誕生と前後して、「フェイク」なる単語が世の中に頻繁に登場することとなった。トランプ大統領はCNNなどのメディアに対して、自身や政権へのニュースの内容がフェイク、でっち上げだと、インタビューやTwitterで糾弾している。ところがトランプ氏は、オバマ前大統領に選挙期間中盗聴されたと、何の根拠も示さず非難している。このタイプの、確証の無い談話やTwitter発信は、大統領自身や政権内部から度々出され、全米を大混乱に陥らせている。その表れがトランプ政権の支持率だ。CNNによるとギャラップの最新調査でついに40%を切って37%、不支持率は58%にまで上昇している。「フェイク」が呼んだ数字だ。
メディアのフェイク
中国ではメディアの誤報が市民生活を混乱させている。中央電視台(CCTV)が流した消費者番組で、福島第一原発の事故以来、近隣10都県からの産品は輸入を禁止しているにも関わらず販売されていたと放送された。しかし実際にはラベルに示されていた本社の位置を生産地と取り違えて、禁輸地域とは無関係の食品がやり玉に挙がるなど、正確さに欠ける報道だった。
糾弾された“無印良品”は、報道は誤りだとして商品の売り場撤去などは行わなかった。しかし他のスーパーなどでは反論せずに、日本の食品を売り場から引き上げる処置を取った所も多かった。ところがネットなどで、日本の食品の安全性に信頼を置き、CCTV報道の信頼性に疑問符をつける声が大きく上がったと伝えられている。メディアの「フェイク」が呼んだ消費者の混乱だった。
スローニュースとは
BBCやアメリカの新聞、テレビなどのメディアはインタビューで語られていることが本当に正しいのか?などの“ファクトチェック”に重点を置き始めている。更に「スローニュース」と呼ばれるスピードよりもデータや調査、専門知識を駆使しての分析など、より深く掘り下げたニュースに力を入れてきている。
新聞やテレビなどのメディアと、ネットで流れる情報の違いは「責任」の介在だ。大手メディアは取材者と上がってきた内容をチェックするキャップやデスクなど二重三重のフィルターを通り、速さとともに正確さを絶対的な条件としている。この欄も可能な限り多角的方面からの視点でチェックし、裏付けが難しいものはボツが原則。