大統領の失脚
|韓国の憲法裁判所は、朴槿恵大統領の弾劾審判で、大統領の罷免を決定、朴槿恵氏は直ちに大統領の職を解かれた。韓国で初めての女性大統領となった朴槿恵氏は、韓国で初めての罷免された大統領となって、失意のうちに青瓦台を去る。
厚遇が待っていたはずの前大統領
以前本欄(1月23日 「退職のオバマ氏は」を参照)でも書いたが、大統領の退職者は、どこの国でも厚遇される。ソウルのメディアによると韓国でも、退職後は手厚い年金、秘書官、運転手、無料の医療保険、オフィスの提供など、様々な特権が与えられる。しかし朴槿恵氏は、前職大統領礼遇法第7条により「弾劾決定を受け退任した場合は、元大統領としての礼遇はしない」と規定されているため、上記の特権のほとんどを失う。更に朴槿恵氏は不逮捕特権も消滅するため、今後の捜査で逮捕、起訴のプロセスが待っている可能性もある。
清貧の大統領が語る貧しさとは
大統領の退職後の厚遇は、それに見合う仕事や責務を担ってきた故の事だが、対極にある大統領として、厚遇を嫌って清貧に務めた、南米ウルグアイのホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダーノ大統領(2010年~2015年)を思い起こす。ムヒカ氏は、世界一貧しい大統領として知られ、その清貧さから国民の絶大な信頼を得ていた。
左派ゲリラとして軍事政権に対抗してきたムヒカ氏は1995年から国会議員となり、2010年には大統領に就任した。子供のころから貧しい生活を送ってきたムヒカ氏は、報酬の90%を寄付、月に受け取っているのは、日本円換算でおよそ10万円だけ。さらに大統領公邸には住まず、妻名義の郊外の農場に住んでいる。クレジットカードはもちろん銀行口座も持たず、彼名義の資産は中古のワーゲンだけだと言う。2016年来日している。
「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人の事だ」ムヒカ大統領の言葉だ。
参照:「世界で最も貧しい大統領のスピーチ」他