白頭山と千里馬
|金正男氏暗殺は、事実はまだ完全に闇の中だ。更にミサイル発射と続き、北朝鮮情勢は不穏な状況を呈してきた。一方、金正男氏の長男ハンソル氏の動画が公開され、彼を支援している千里馬(チョルリマ)民間防衛と名乗る団体が新たに登場した。「千里馬」とは何か?そして金ファミリーの血統に関わる「白頭山」とは何か?
信仰の地、白頭山(ペクトゥサン)
白頭山とは中国と北朝鮮の国境にある標高2744mの火山だ。古くから朝鮮の歴史に登場し、朝鮮民族の聖地とされている。頂上にはカルデラ湖の天池(ティエンチ)があり、ここを水源に、中国との国境を分ける鴨緑江が東へ、豆満江が西へと流れる。更に北に向かっては松花江が流れ下り、中国へ水を送る。
民族のブランド、白頭山を使った金ファミリーの神格化はこうだ。白頭山のふもとがまだ満州であった頃、金ファミリーの創始、金日成(1912年~1994年)は、抗日武力組織の司令官として戦っていた。その息子の金正日(1941年~2011年)は、白頭山の基地内で、選ばれた子として生まれたとストーリーを続け、世襲による指導体制を作り上げた。(ソビエトに残る記録では、金正日は金日成が敗走したソビエトの極東地域、ハバロフスクないしはウラジオストク近郊で生まれたとされている)こうして、聖地・白頭山を民族の聖地から革命の聖地として、金ファミリーによる白頭山の血脈を仕立てた。
千里馬は朝鮮の伝説上の馬で、翼をもち一日に千里をかける。一里は日本では約4㎞、朝鮮では現在使われていないようだが、およそ400m。従って千里馬が駆ける距離はおよそ400㎞、さほどではない。夢の無い話をしてしまいました。平壌の地下鉄には千里馬線がある。