日曜洋画劇場がサヨナラ、サヨナラ

テレビ朝日系列で1966年から続いていた「日曜洋画劇場」が、半世紀にもわたる歴史に幕を降ろす。最近は日曜エンターテインメントとなって洋画は不定期枠になっていたが、タイトルは「日曜エンタ・日曜洋画劇場」とWタイトルになっていた。

日曜洋画劇場はNET(日本教育テレビ)の時代から

サヨナラおじさんが作り上げた日曜洋画劇場

日曜洋画劇場はスタート当初(1966年10月)は土曜日の枠で、名称も「土曜洋画劇場」だった。翌年の春から日曜夜9時に移動、「日曜洋画劇場」となった。第一回から映画本編の前後で解説をしてくれるのが淀川長治(よどがわながはる)さんだった。日曜洋画劇場の解説者として現役のまま1998年11月11日に亡くなるまで 映画を愛してやまない気持ち一杯のまま解説を続けた。亡くなる前日に、最後となった解説を収録している。他局でも洋画放送枠は沢山あったが、日曜映画劇場は一味違った。放送枠に収めるためのカットも作品の雰囲気を壊さないように配慮されていたし、吹き替えのキャスティングにもそれは感じされた。テレビ朝日のスタッフに淀川イズムが浸透しているように思えた。

“サヨナラおじさん”とは、淀川さんが解説の最後に必ず「サヨナラ」を3度繰り返すことから付いたあだ名だ。サヨナラおじさんに続いてエンディングテーマ、ミュージカル“キス・ミー・ケイト”の曲の一つである“ソー・イン・ラブ”が流れると反射的に「ああ週末が終わり、明日は月曜日だ」とがっかりしたのを思い出す。

ローカル局の失敗

レンタルDVDの無い時代、日曜洋画劇場は家庭で名画を楽しむ大きなツールだった(ローマの休日)

とあるローカル局で平日の昼間に、日曜洋画劇場の淀川さんの解説を間違ってオンエアーしたのを見た。映画は「いちご白書」。本編の前に淀川さんの解説ロールがそのままVTRで付いていたらしい。本来カットするべきものを誤って放送してしまった。放送システムからすると、淀川さんの解説が1分余り入ったので、どうやら本編の時間がその分だけ足りなくなってしまうようで、映画のお尻、つまりクライマックスシーンがなんと切れてしまった。幸いストーリー的には問題なかったが、最も盛り上がるシーンが放送できなかった。淀川さんが見たら果たしてなんと思ったか。

テレビ朝日の日曜映画劇場のサイトには、「100周年を目指して」と書かれていただけに終了はとても残念。淀川さんの解説はYouTubeで公開されている。