トナカイが絶滅危惧種に

明日はクリスマスイブ、サンタクロースは忙しく橇やプレゼントの最後のチェックに余念がないだろうが、未来永劫続く年に一度の大仕事のために欠かせないパートナー、トナカイの種の存続が心配されている。

温暖化でトナカイ大量死

フィンランドなどの研究チームが、科学雑誌バイオロジー・レターズ(電子版)に発表したところによると、地球温暖化の影響でトナカイの生息環境が著しく悪くなっている。

バレンツ海やカラ海では海氷の減少が進んでいるが、さらに西シベリアなどで夏の気温も上がり、秋や初冬も雪ではなく、雨やみぞれが多くなってきている。これらが凍って表面を氷が覆うため、ツンドラを群れで移動するトナカイは餌となる草を食べることが出来ないという。

ロシアのヤマル半島ではトナカイの遊牧が行なわれているが、餌不足で数万頭のトナカイが死んでいるという。IUCN(国際自然保護連合)は、生息数の大幅減少は極めて深刻だとして、トナカイを絶滅危惧種に指定した。

雑学ライブラリー

ツンドラ(永久凍土)

ツンドラの大地に出来た町

低い気温や一年中溶けない大量の雪で、地面が凍ってしまった状態。深いものでは地表から数百メートルもの地面が凍っているところもある。

ツンドラに覆われたロシアのサハ共和国をかつて取材した。首都のヤクーチアでは夏に気温がプラスとなり、ツンドラの表面が溶けるので、建物は傾いでしまう。このため夏でも地盤が溶けない層にまでパイルを打ち込み土台を作る。特に高層建築では数十メートルも打ち込む。上下水道もパイプを地中に埋めると夏には狂いが来るため、地表を這わせて、冬はパイプの周囲に温水を流し凍らないようにしている。しかしツンドラには様々な資源が眠っている。サハ共和国は、金やダイヤモンドの一大産地であり、トナカイの遊牧が行なわれているヤマル半島のツンドラの下にはロシアで最大の埋蔵量を持つガス田がある。