県議会で「県の歌」がやり玉に
|島根県議会の一般質問で、自民党の県議から、長年県民に親しまれている県の歌「薄紫の山脈」への疑問が投げかけられた。
人口減で実態と違う?
県議がやり玉に挙げたのは県民の歌。三番は「心ひとつに結び合う九十万の県民の、平和の歌は今ぞ湧く~」と歌われる。ところが島根県の人口は2014年には70万人を割り込み、現在は69万4千人にまで減少、「九十万の県民の・・・」のくだりが実態にそぐわないというのだ。
薄紫の山脈が作られたのは1951年(昭和26年)。島根県のHPによると、日本が再び世界の表舞台へと返り咲いた、サンフランシスコ講和条約締結を記念して作られたとか。その当時の島根県は人口が増加しており、1955年(昭和30年)にピークの92万9千人に達している。
県の人口動向シミュレーションでは、2050年には50万人前後のさらに厳しい予測となっている。数字に沿って歌詞を変えて行くわけにもいくまい。制定された頃の背景を思いながら歌うのが宜しいのではないか。県外の人にも厳しい地方の現実を理解してもらう教材に思える。
雑学ライブラリー
瞳を閉じて(松任谷由実)
都道府県の歌、市町村の歌、学校の校歌。大勢が心を一つにするための歌作りは、洋の東西を問わない。
「瞳を閉じて」(作詞作曲:荒井由実)は、とある学校の愛唱歌から島民が愛する島の歌になった。長崎県五島列島奈留(なる)島の県立高校の分校に通っていた女子高校生が、分校故になかった校歌を作ってもらいたいと、ラジオのオールナイトニッポンへ呼び掛けたことに始まる。今の松任谷由実が、これに応じて作った歌が「瞳を閉じて」だ。分校はその後、長崎県立奈留高校として本校となり、愛唱歌として歌い継がれるとともに、島民誰もが口ずさむ歌となっている。昨年は、松任谷由実氏も現地へ来て奈留高校50年を祝ったとか。
島から見た、きらきら光る海の様子が脳裏に浮かぶ素敵な愛唱歌だ。こんな歌が校歌だったら一生忘れない。(参考:長崎県立奈留高校HP)