ビールを飲んでアルツハイマーを防ぐ

脳が委縮して認知症に至るアルツハイマー、治療の決め手が見つかっていないこの病に、ビールの苦みが有効だとの研究成果が発表された。なんて有難いビールの効果だ。

認知症予防にビール、ワイン

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ホップの苦みが認知症に効果

ビールの効果を発表したのはキリンと東京大学、学習院大学の共同グループで、ビールの苦み成分であるホップに含まれる“イソα酸”が、アルツハイマー型認知症の原因物質とされる“βアミロイド”の蓄積を抑制することが分かった。これはマウスに“イソα酸”を含む飼料を餌として与えたところ、脳の中のβアミロイドが低下するとともに、脳の中の老廃物を取り除くミクログリアが活性化したことなどが確認された。

これまでも適度なアルコールの摂取は、認知症を防ぐ効果が示されていて、中でも赤ワインのポリフェノールの効果については、いくつかの研究成果が発表されていた。しかしビールの苦み成分の予防効果が明らかになったのは世界で初めてだ。認知症予防にどんどんビールを飲みたいが、度を過ぎて記憶を失っては元も子もなしだ。

雑学ライブラリー

ワイン、ビールはお酒の歴史そのもの

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ハムラビ法典にもビールの記述

認知症への効果が認められているワインとビールは、ともにお酒の原点ともいえる。ワインは歴史書への登場は紀元前8000年前から3,000年前といたく幅があるが、ワインもビールも古代エジプトではすでに飲まれていた。ピラミッド建設の労働者(奴隷)へビールがふるまわれていたとの記録もある他、ハムラビ法典にはビール売りの規定がかかれている。

中性ヨーロッパでワインが修道院で作られていたように、嗜好品だけでなく薬のとしての側面もあった。

日本へはワインが16世紀、ビールが18世紀に渡ってきている。日本で初めてビールを飲んだ人物の感想が「和蘭問答」(1724年)という書物に残っている。いわく「思いのほか不味く、まったくおいしいものではなかった」とされていて、江戸時代の日本人にはビールの苦みはまさに薬の苦みだったのかもしれない。