豊洲市場 土壇場の混迷
|新しい東京中央卸売市場として華々しく開場する予定だった、豊洲市場がそっぽを向かれつつある。豊洲が悪いわけではないが、様々なニュースでご覧のとおり、汚染土壌からの影響を回避するために実施したはずの4.5mの盛土がなされていなかった。汚染物質が地下から上がって来る心配すらある。
盛土がなされるはずだった箇所は、コンクリートに囲まれた大きな地下空間として残されている。なぜこうなったのか、理由はこれから明らかとなるだろうが、いずれにしろ、いい加減な仕事や決断がまかり通ったに違いない。
日本共産党都議団が発表した写真では、残された地下空間には床に水が溜まっている様子が分かる。雨水の浸入や地下水の漏出が懸念されているが、特に地下水が上がってきているのなら大きな問題だ。
救う手立てはあるのか
豊洲の市場は完成したばかりだ。長い年月が経っているのならまだしも、コンクリートはそんなにも水を通すものなのか?との疑問が沸く。
実は、細かいクラックや空隙はコンクリートにはつきもので、これらを通して入って来る水の浸入は、コンクリートの大敵なのだ。
豊洲は、新市場としての安全性を確保して復活デビューできるのか?もし市場を断念して、全く別の施設に衣替えしたとしても、土壌汚染の二次被害を克服出来なければ使うことは出来ないだろう。コンクリートの空隙や細かいクラックをゲル状のもので埋めて緻密化を図り、水を通し難くして、コンクリート本来の性能を回復させる薬剤もある。原因の追求とともに、何らかの方策を見出さなければならない。
クローズアップ雑学
コンクリートも劣化する
エジプトのピラミッド。大きな石と石をつなぐ目地にモルタルが使われている。最も古いセメントはさらに遡って、イスラエルで発掘された9000年前のものだ。コンクリートは古代から、人間生活を支えてきたと言える。“Concrete=成長する”の意味の通り、コンクリートは固まってからも強度は増してゆく。
モルタルに石の骨材が入り、さらに鉄筋が入ることでコンクリートはインフラ整備には欠かせない素材となった。しかしメンテナンスはいらないと思われていたコンクリートも、水や二酸化炭素が内部に浸入することで劣化する。それが社会的な大問題。前述の薬剤など、コンクリートの長寿命化を図る技術が注目を浴びてきている。