海汚すプラゴミ
|海を汚しているのは、大きなプラスチックやペットボトルだけではない。問題となっているのはマイクロプラスチックと呼ばれる、目に見えないほどの細かいプラスチックの粒子だ。実はこれが大きな環境問題となっている。
魚が危険 人間への害は?
マイクロプラスチック(MP)は大きさが5ミリ以下のプラスチック片を指す。MPは、捨てられて海に漂ったペットボトルやレジ袋などのプラスチックが波にもまれたり、太陽の紫外線で劣化し細かく砕かれたりして出来上がる。そのほか洗顔料やハミガキに入っている細かいプラスチック片マイクロビーズ、これらも下水を通って海に流れ着き、MPとなる。
面倒なのは魚がMPを餌と間違えて食べてしまうことだ。MPは魚の体内に留まり、この魚を鳥などが食べるし、人間へも返って来る。東京農工大の研究チームが、東京湾で調べたところ、捕えたイワシのなんと8割の内臓にMPが入っていたという。
プラスチックは海水中の有害な化学物質を吸着しやすく、その濃度は海水の数十万倍から百万倍にも達している。MPを飲み込んだ海鳥や魚貝類にその化学物質の蓄積が見られている。研究チームでは、人がMPを取り込んだ魚を食べても、MPは体内から排出されるが、化学物質は体内に蓄積される可能性があると指摘している。
クローズアップ雑学
スクラブがあなたのお腹へ?
肌がつるつるになるので人気を呼んだスクラブ洗顔や粒粒入りハミガキ。スクラブ洗顔はスクラブが目に入って眼球を傷つけるなどの、注意が呼びかけられたが今も店頭に並ぶ。これらが環境汚染に繋がっていたとはだれも気が付かなかった。東京湾のイワシから見つかったMPの10%はマイクロビーズだった。あまり考えたくないが、誰かが顔を洗った洗顔料がイワシに入り、それが丸干しになっている!?
ただ、世界的にマイクロビーズの使用が禁止に向かっていることもあり、日本のメーカーでも、プラスチックから天然由来のスクラブへ急速に変化してきている。天然成分のスクラブは、海へ行く前に自然に分解してしまい汚染には繋がらない。
参考)東京農工大学農学部環境資源科学科
高田秀重教授の研究チームによる資料