ビルを貫いた鉄道、50年ぶりの公開
|モノレールには、レールを跨ぐ跨座式(こざしき)とレールにぶら下がる懸垂式(けんすいしき)の2つのタイプがある。構造上、どちらも地上から数メートル高いところに設置される高架線を走ることとなり、東京モノレールの昭和島駅付近のようにほぼ地上にレールが敷かれている区間の方が珍しい。
東京モノレールの浜松町駅も、ビルの中にモノレールが吸い込まれていく様相だが、モノレールの線路の上にアパートが建設されたような、びっくりする光景が兵庫県姫路市にある。写真のアパートの中ほどから飛び出る黒い鉄骨のようなものが、かつてモノレールが走っていた線路だ。
姫路市が運営していたモノレールは、1966年に開通した姫路駅と手柄山を結ぶ全長2㎞に満たない路線で、利用者が伸びず、1977年には運行を終えた。
このアパートは3,4階部分が途中駅の「大将軍駅」で、5階から上は住居で、一部はホテルともなっていたとのこと。運行を終えてからすでに40年近くになっていて、この建物も秋には取り壊されるが、施設はほぼ当時のまま残っていて、駅は昭和の香りを残したまま閉ざされていた。
50年ぶりの公開は、解体前に鉄道遺構ともいえる姫路モノレールの歴史に触れようと、市民の間から声が上がりこれに市が応えたものだ。公開は今月13日14日の両日で、事前申し込みは姫路市のHPから手柄山交流ステーションのページを参照。
クローズアップ雑学
日本のモノレール
日本のモノレールは、通勤通学などに利用される一般私鉄並みの都市型モノレールが7路線、そのほかテーマパークなどに設けられているアミューズメント型のモノレールを入れると総延長はおよそ120㎞。アミューズメント型と言うと、四国の山奥にちょっと変わったモノレールが走っている。
徳島県の“奥祖谷周遊観光モノレール”超小型2人乗りの車両と言うよりゴンドラが、4分おきに走っている。ひたすら木々の中をゆっくりと進み、全長4.6㎞をおよそ1時間10分かけて走る。森林浴はいやと言うほど出来るが、景色など、何らかの目玉があるわけではない。それでも高低差590m、最大斜度40度は、最長標高1380m。これらはすべて観光型のモノレールとしては世界最高だそうだ。一時間以上も樹木の中を走り回るのは「ご退屈様」でもあるが、何か癒されそうだ。