癒しの音が人気 アナログレコードの復活

デジタルと違った暖かい音、CDでは絶対に出ない、「ぷつっ、ぽつり」と聞こえるレコード針が拾うノイズ。そんなアナログ音源が静かなブームを呼んでいる。

きゃりーもレコードで発売

EP盤ターンテーブルレコードの出荷がぐいぐい伸びている。中古のレコード人気だけではなく、きゃりーぱみゅぱみゅやPerfumeなど今を時めく人気アーティストがあえてレコードで発売に踏み切ったことも原因だ。日本レコード協会のデータによると、レコードの昨年の出荷は66万枚余りと5年前の5倍以上に激増している。

アナログレコードは、究極のデジタル音源として人気の、ハイリゾリューションとは対極にあるものだが、何が良いのだろう。

学校で習った通り、音は波だが、デジタルは波を細かく切り分けてそれを並べて連続化している。一方アナログのレコードは波のままだ。レコードに針を落とすと、聞こえてくる音は穏やかで何故か優しい。さらにレコードは直径30センチのLP版でも再生時間は20分ほど。続けて聞くにはこれを裏返さなければならない。この誠にアナログ的な面倒さも、若いレコードファンにとっては新鮮に映るとのこと。

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エジソンは偉い人

レコードプレーヤー、日本の古い呼び方では蓄音機。トーマス・エジソンの発明で知られる。エジソンが録音メディアとして使ったのは錫を貼った円筒形の筒。これに音の波を針の振動に替えて、溝を掘ることで記録した。その後、筒形から平盤となり、材質も今では塩化ビニールだ。

日本でレコードを作っているのは現在、東洋化成一社。レコーディング音源をカッティングマシンで、原盤に溝をカットし、それをプレス機を使って何枚ものレコードに仕上げる。一方レコードから音を取り出すには針が必要だが、その針を作っているのは日本精機宝石工業で、こちらも一社のみ。両社ともレコード人気で、生産はフル稼働だとか。

レコードプレーヤーは、パナソニックやソニーなどが新製品を投入するなど、再生産に向かうメーカーも多い。すぐに楽しめる一万円台のオールインワン・プレーヤーから五十万円台の超高級品まで選択肢も揃っている。