大動脈が一時休止

3月26日、北海道新幹線が開業する。新青森から新函館北斗までの148キロで、東海道新幹線の開業から半世紀を経て初めて新幹線が北海道に到達する。JR北海道では、その開業準備のため本州と北海道の間の旅客列車を22日から4日間止めて設備の最終切り替えを行う。新幹線の開業に伴って在来線が大幅に運休するのは初めてのケースだ。

これは青函トンネルをはさむ60㎞余りは、新幹線と在来線の貨物列車が共用するためだ。共用区間の設備は新幹線仕様に改められるが、最も大きな変更は電力で、これまでは交流2万ボルトだった電圧が、新幹線用の2万5千ボルトへ昇圧される。このため在来線の車両は走れなくなってしまい、本州と北海道の間の大動脈が止まる。JRではこの期間、フェリーや航空機などを利用するよう求めている。

貨物列車は既に2万5千ボルト用の電気機関車を配備済みなので、この期間も止まることなく貨物を運び続ける。

 

ZATSUGAKU POINT

青函トンネル実は貨物が主役

青函トンネル開業からすでに28年。トンネルは当初から新幹線を通す大型断面で作られていたが、実は長年貨物が主役であった。旅客列車は一日あたり約30本。それに対して貨物列車は51本/日と貨物の方が多い。新幹線開業後も定期列車が上下26本/日と、貨物の優位性は変わらない。

さらにトンネルでの貨物列車とのすれ違いの安全性を図るため、スピードが身上の新幹線が速度を140キロまで落として走行する。このため東京~新函館北斗は4時間を超えてしまう。

そこまで貨物は大事か?という声も上がるが、実は本州の人にとっても大事。例えば新幹線1本を高速走行するためには、安全上貨物列車3本が犠牲となる。その損出は年間1500億円になるとの試算が発表されている。北海道とのJR貨物輸送が細くなると、東京でも家庭の台所に影響が出てくるのだ。