交通量が少なく、上下2車線で開通している高速道路は、対向車線からの飛び出し事故が心配されるが、分離帯にワイヤーロープを張ることで、事故が大幅に減ったことが分かった。
反対車線飛び出しの死亡はゼロ
全国の高速道路はおよそ11,500㎞。このうちのおよそ4割に当たる4,287㎞が暫定2車線で開通している。これらの2車線高速は、殆どが中央分離帯にラバーポールが立っているだけで、重大事故に繋がる対向車線へのはみだしがたびたび起こっていた。このため国土交通省や各高速道路会社では、ラバーポールの代わりにワイヤーを設置する試行を進めていた。
11月末時点で、ワイヤーによる分離帯が整備されているのは12路線、113㎞となっている。これらの区間の事故状況をまとめると、昨年は反対車線への飛び出し事故が45件発生し7人が亡くなっているが、ワイヤー分離帯を設置後は反対車線への飛び出しはわずかに1件で、死者も出ていない。ワイヤーへの接触は112件起きているが、ワイヤーに守られ飛び出し事故にまでは発展していない。
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世界でも稀な2車線高速
ドライバーへのアンケートによると、ラバーポールからワイヤー分離帯に替わったのをおよそ70%のドライバーが認識しており、このうち半数のドライバーがワイヤー分離帯の方が「安心感がある」と答えている。アンケートでは現れていないが、おそらく北日本の降雪地帯のドライバーはより一層の安心を感じていることと思う。
4車線化の目安は一日の走行量1万台だが、片側1車線の高速道路は世界でも稀で、アメリカやドイツなどにも道路構造上の理由で2車線高速はあるうようだが、高速道路のおよそ4割が片側1車線という国は日本だけだ。