国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)は、通常の1000倍にも当たる大型の太陽フレア(表面の爆発現象)を観測したと発表した。この様な大型のフレアは11年振りで、電子機器やGPSへの影響が出る可能性もあるという。
日本列島でオーロラの可能性も
NICTによるとフレアを観測したのは6日で、中でも20時53分(日本時間)に発生したフレアは、最大X線強度が通常の1000倍にもなる大型の爆発となった。この現象で噴出したコロナガスが、8日の15時頃から24時頃まで地球に到来する。人体には影響ないが、電気を帯びた大量の粒子が降り注ぐことで通信機器やGPSに影響が出る可能性がある。NICTでは、航空機や船舶などの交通機関の他、地磁気変動に伴う送電線への影響も生じる恐れもあるとしている。1989年には、カナダで太陽フレアによる大規模停電が発生した前例がある。
GPSの誤差が拡大する可能性はあるが、スマホやカーナビゲーションは補正機能が働くため、大きな障害にはならないとみられる。
一方、日本列島でも緯度の高い北海道北部などでは、空が赤く光るオーロラが出現する可能性もある。
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太陽フレアと航空機
太陽フレアは、太陽の黒点の周囲で発生する爆発現象。強い紫外線やX線などの他、非常に高いエネルギーを持った高エネルギープロトン粒子が放出される。この高エネルギープロトン粒子が地球まで到達すると宇宙飛行士の被ばくなどが起こる。航空機の高度では通常、地球の磁場や大気が遮ってくれるが、非常に大きなフレアが発生した場合は影響を避けられない。東京~ヨーロッパ線への一回の搭乗で、年間被ばく量の大半をかぶってしまう可能性がある。搭乗した場合はシェードを降ろしておく必要がありそうだ。
(参考:国立研究開発法人・情報通信研究機構、国立研究開発法人・量子科学技術研究開発機構)