5日午前11時過ぎ、東京・羽田空港を離陸したJAL006便、ニューヨーク行きのB777型機が、離陸直後にエンジン後方から炎が上がり、羽田へ緊急着陸した事故は、当初疑われた鳥との衝突ではなく、エンジンの問題である可能性が出てきた。
壊れていたエンジン部品
離陸中に何度かエンジンから火を発した006便は、問題の左側第1エンジンを止めるとともに6000フィート(およそ2000m)まで上昇し、房総半島沖で燃料投棄後、羽田に戻った。報道によると、タービンブレードが数十枚も破損していた。更に離陸した滑走路にも部品が散乱し、周囲の芝生にも引火していた。
離陸の際、エンジンはほぼ最大出力で回転して高い負荷がかかっている。それだけに、緩んでいたエンジンのパーツが飛んだり、滑走路に落ちていたものが吸い込まれたりすると、大きな事故に繋がってしまう。
金属疲労や材料品質に問題のあるブレードが混ざってしまったなどいくつかの推測が成り立つが、当該機(JA743J)は2009年10月に登録された中堅機材で、エンジンも信頼性の高い、アメリカGE Aviationのものだ。それだけに、性能に関わる原因は考え難い。調査を待たなければならないが、他のボーイング777にも関わって来ることだけに、早々に原因を突き止めてもらいたい。
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フュエルダンプ(燃料投棄)は必要なのか?
テレビニュースの「恐怖のフライト」などと言った“あおり”に比べ、乗客はとても冷静だった。翼から燃料が放出される様子もスマホで、しっかり捉えている。
777型機は、離陸する際の重量は340tにもなる。ニューヨークまでの飛行の間に消費する燃料はおよそ15万リットル、着陸する時は重さにして120t軽くなっているのだ。着陸では脚に一気に機体の重さがかかって来る。それも接地の瞬間は重量以上の負荷がかかる。重すぎると機体に損傷が出て、安全性を損ねる可能性があるため、燃料投棄をして重量を軽くするのだ。もちろん緊急の場合にはそのままの着陸もあり得る。
ちなみにジェット旅客機の燃料は、ケロシンと呼ばれる灯油と成分が似たものだ。フュエルダンプの際は基本洋上へ出るが、細かい霧状で空中投棄されるため蒸発して地上には達しない。