明治から昭和にかけての日本画家,鏑木清方(かぶらききよかた)の作品で、関東大震災(1923年)で焼失したと思われていた幽霊画が94年ぶりに見つかり公開されている。
幻の作品が加わった幽霊画展
公開されているのは清方が26~27歳頃に書いたとみられる「お茶を献ずるお菊さん」で、怪談話で有名な三遊亭円朝(1839~1900年)が眠る台東区谷中の全生庵(ぜんしょうあん)で公開されている。「怪談牡丹灯籠」「真景累が淵」など、今も語られる怪談話は全て円朝の手によるもので、全生庵では命日の8月11日からの円朝忌に毎年、円朝が集めた幽霊画を公開している。今年はこれらの幽霊画に失われたと思われていた清方の作品が加わった。「幻の幽霊画展」は、東京台東区谷中5丁目の全生庵で、8月31日まで開かれている。(入館料500円)
雑学ライブラリー
お岩にお露、そしてお菊
怪談話に登場する美女3人。「四谷怪談」の“お岩”は、夫に毒を盛られ醜い顔の幽霊となって夫にとりつく。四谷左門町に於岩稲荷田宮神社がある。
“お露”は「怪談牡丹灯籠」。物語は今の根津、谷中付近、お露は恨みで登場する幽霊とは違い、相手の男性を恋い焦がれて幽霊となり毎夜現れる。そして“お菊”は番町皿屋敷。主人の逆恨みを買って、十枚組の貴重な皿の一枚を無くしたと責められ、井戸に身を投げる。お菊はそれを恨みに毎夜井戸の中から出て皿の数を数える。
この三つが3大怪談話と呼ばれる。なお同じお菊だが、清方の「お茶を献上するお菊さん」と皿屋敷のお菊は違う人物のようだ。