山陽以降の新幹線はトンネルが多い。駅間を最短で結ぶため、いきおいトンネルが増える。九州新幹線は博多~鹿児島中央までのうち68.9%がトンネルだ。一方、平野部を走る東海道新幹線は、トンネル総延長68.6㎞、全線のおよそ13%と車窓からの景色も楽しめる、最も陽の当たる新幹線だ。
北海道新幹線は地下鉄!?
2031年春に開業予定の北海道新幹線、新函館北斗~札幌間、およそ211㎞のうち7割がトンネルだったが、設計変更がなされ、さらにトンネル区間が伸びることになった。当初の予定では新小樽を出発後すぐに長さ18.8㎞の手稲(ていね)トンネルに入り札幌市西区でトンネルを出て、在来線と並走、札幌駅へ至る計画だった。しかし新たな設計では、札幌の市街地を地下トンネルとし、札幌駅の直前で地上に出ることとなった。
札幌の西区は石狩湾から入る雪雲のため、札幌市内でも雪の多い地区で、平年の降雪量は各区の中で最も多い5m92㎝にもなる。新幹線高架の除雪や市街地での用地確保を考慮して、市内全線の地下化が決まった。これで手稲トンネルは7.2㎞も長くなり、26㎞を超えて小樽~札幌間全線が地下トンネルとなった。トンネル名も手稲トンネルから札樽トンネルへと変更された。
新函館北斗~札幌間のトンネル延長はこれで169㎞、区間のおよそ8割にもなる。雪でのトラブルを考えると暗闇区間の増加は致し方ないが、ここまでトンネル区間が伸びると、トンネルの壁面を使ったプロジェクションなどこれまでにないエンターテイメントが登場する可能性もありそうだ。
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暗闇列車の真打は
暗闇列車の真打は中央リニア新幹線だ。北海道新幹線の札幌延長開業より4年ほど早い2027年開業予定。東京の品川から名古屋駅まで全線286㎞のうちなんと246㎞がトンネル区間だ。しかもリニアは日本アルプスの下を通り、糸魚川静岡構造線をも貫く。リニアの最高速度は時速505㎞、駅の停車は除き、明かり区間の走行は5分にも満たない。