6月5日付け記事でお伝えした、南極のラーセンCのアイスシェルフ(棚氷)の一部がついに分離し、氷山となった模様だ。BBCによると氷山の重さはおよそ1兆トン、厚さは350mにもなる。また広さはデラウェア州を上回ると伝えている。デラウェア州は全米の中でも下から2番目の小さな州だが、栃木県の広さにほぼ匹敵する。
海面上昇に繋がるのか?
今回の分離で、ラーセンCの棚氷はおよそ12%の面積を失ったことになるが、既に分離前からほとんどの面積は海洋に浮かんでいたため、BAS(英国南極調査チーム)では今回の分離で海面の上昇には大きな影響はないとみている。
ただ今回の分離で、ラーセンがせき止めていた棚氷が、さらに押し出されるなどして崩壊に繋がると、ある程度の海面上昇は避けられないとの見方が広がっている。
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氷山の一角
「今回明らかとなったのは、氷山の一角で、事件の全容は、はるかに巨大だ」などと使われる“氷山の一角”海面上に出て、見えている氷山はほんの一部で、海面下にはその数倍の大きさの氷が潜んでいる故の慣用句だ。実際に90%が海面下に沈んでいる。氷山に衝突して沈没したタイタニックも、隠れた部分の氷が、船体を切り裂いたのだ。
氷山が出来る原因は、棚氷の崩壊や、氷河から押し出された氷の分離で、南氷洋や北極付近のグリーンランド東側から、タイタニックの現場となった北大西洋に広がっている。一方、北太平洋やベーリング海には氷山は見られない。
UAE(アラブ首長国連邦)の企業が、南極の氷山を中東まで牽引し、飲み水に使うプランを明らかにしている。氷の90%が海中にあるため、灼熱のUAEまで移動させてもほとんど溶けないとしており、来年にも実験に着手する見込みだ。