交通事故、中でも死亡事故の件数は2005年からの10年間、年々減少している。ところが75歳以上に限ると、全体に占める死亡事故は2005年には7.8%だったが、2015年には12.8%に増えているのだ。
高速逆走も、およそ半数が75歳以上
3月にスタートした改正道路交通法のターゲットは、高齢運転者対策だ。75歳以上のドライバーには免許更新の際、より一層の認知機能検査が課せられる。また更新時に関わらず、信号無視など軽微な違反でも、改めて認知機能検査が課せられる。検査の機会を増やし、進行する認知機能の低下を早めに察知しようという目論見だ。
重大な事故に繋がる高速道路の逆走、これも高齢ドライバーが当事者となるケースが多く、75歳以上のドライバーは、免許保有者の中でもわずか6%に過ぎないが、高速逆走事故のドライバーの実に45%が75歳以上の高齢運転者だ。75歳から79歳のドライバーによる逆走事故は年間およそ40件と、他の年齢層に比べとび抜けて多い。
逆走したドライバーの約70%は、故意か過失で、自分で逆走しているのを認識していた。怖いのは残る30%の運転者らで、最後まで逆走しているのを気付いていなかった。これらのドライバーは高速を走った経験に乏しく、90%が高齢者だった。しかもそのうち75%のドライバーは認知症が疑われた。
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外国でも高齢者ドライバーは大問題
免許に制限を設けている国は多い、カナダなどでは日中だけ運転が許される高齢ドライバーや、高速道路の走行ができない一般道路のみのライセンスなどが効果を上げている。この他、イギリスなどでは、70歳で一度免許は失効し、その後健康チェックなどを経て3年更新の高齢者用のライセンスが発行される。中国では、なんと70歳で免許は取り上げ。運転は不可で、高齢者ドライバーを一人もいない状況を作り出す