日本初のジェット旅客機MRJが、19日開幕したパリの国際航空宇宙ショーへ初めて実際の機体を持ち込んで参加、世界でも有数の航空ショーで世界デビューを果たした。
前途は多難「売れるのか」の声
MRJ(三菱リージョナル・ジェット)は、三菱重工の子会社、三菱航空機が開発している小型ジェット旅客機で、パリの航空ショーには、前回(2015年)にも参加の予定だったが、開発が間に合わず断念した経緯がある。本来2013年に就航の予定が大幅に遅れ、現在は2020年に就航予定だ。キックオフカスタマーのANAの塗装をまとったMRJは、飛行試験のベースとなっているアメリカワシントン州のモーゼスレイクからパリ入りした。現在MRJは、世界のエアラインや航空機リース会社から、400機余りのオーダー(解約が可能なオプション契約を含む)を受けている。大規模なトレードショーでもあるパリ国際航空宇宙ショーは、毎年多くの航空機メーカーが受注合戦を繰り広げ、オーダーを伸ばしている。100席以下のジェット旅客機で、高い経済性を誇っているMRJは世界のエアラインから注目を浴びていたが、相次ぐ就航延期に、先行メーカーのブラジルのエンブラエルやカナダのボンバルディアにはいっそう間を開けられてしまった。
三菱航空機はパリでの新たな受注は無いものとみており、営業戦略よりも少しでも開発スケジュールの遅れを取り戻すことに重点を置く方針だ。
雑学ライブラリー
大赤字に終わったYS-11
メイド・イン・ジャパンの飛行機として182機が作られ、日本はもとより世界の空を飛んだYS-11、1968年にイギリスのファーンボロ航空ショーに、日本のエアライナーとして初めて参加した。今では日本の航空会社からも退役したが、一時はアメリカやギリシャ、フィリピン、韓国、アルゼンチンなど13国へ輸出、およそ80機が世界の空を飛んだ。技術的には優れた飛行機だったが、営業的には失敗し、最後は売っても逆に赤字が増える様であった。このYS-11を活かしてジェット旅客機を作る計画案も出されたが実現しなかった。それらのノウハウはMRJにも引き継がれている。