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タワーリング・インフェルノの恐怖

14日未明、ロンドンで起きた高層アパート火災は、痛ましい大火災となってしまった。出火から2日近くがたつ日本時間の16日午前、まだ全容は見えていないが、火が出たのが、多くの住民が寝静まった午前1時頃だけに、犠牲者はかなりの数となりそうだ。

火の回りのスピードに絶句

映像では外壁を駆けのぼる炎は、30分ほどで24階建てのアパート上部にまで達してしまっている。外断熱の素材が可燃物であったようだ。更に各フロア全体に火災が広がり、壁が防火壁の役目を果たしていないのが見て取れる。

低層のフラットが多かったロンドンも高層アパート増える

アパートは1974年の建築で、40年以上も前の建物だ。海外の古い高層建築は、アパートやホテルでも木材が多く使われているのに驚くことがある。木枠の窓にも何度かお目にかかった。このアパートも、部屋を仕切る壁などには可燃物が多用されていたのではないか。

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火災からの生還、ゴルゴの教え

惨事の舞台となったアパートが建った1974年は、火災に何か因縁を感じる。超高層ビルの大火災を描いたディザスター・ムービー(大災害をテーマにした映画ジャンル)「タワーリング・インフェルノ」は、今回のアパートが竣工した1974年に公開されている。物語はサンフランシスコで、竣工したばかりの139階建ての世界最高のビルが大火災を起こすパニック映画だった。

そしてその1974年、歴史に残るビル火災があった。ブラジル、サンパウロのオフィスビル“ジョエルマビル”の火災だ。このビルも部屋を隔てる壁は木材や可燃性の樹脂で出来ていた上、不燃処置のされていないカーテンや絨毯も延焼を促す素材となった。多くの会社が始業したばかりの午前9時過ぎの出火で、ビル全体が焼け227名が犠牲となった。

ゴルゴ13にジョエルマビルを参考にしたと思われる作品がある。(226話ファイアー・アフター)大火災から奇跡の生還を果たすゴルゴは、ぐっしょり濡らしたカーテンをかぶり、水を飲めるだけ飲んで火事現場を潜り抜ける。その時ゴルゴは、「水を飲むのは炎の熱による体からの脱水を防ぎ、火傷をした時も軽くて済み、回復も早まる」と話している。

重ねて驚いたのは、多くの犠牲者を出したジョエルマビルが、改修されて今もオフィスビルとして現存していることだ。

airdream :テレビ報道に20年以上携わる。国内だけではなく、世界各地特にアジアやロシアで修羅場もくぐる。でも大好きなのは楽しいニュース。ほのぼのニュース。ためになるニュース。そんなページを目指します。

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