H2ロケットで1日午前打ち上げられた準天頂衛星「みちびき2号」は、打ち上げから28分21秒、ロケットから切り離され予定の軌道に投入された。
経済効果は2兆円
「みちびき」は日本国民にとって、おそらく気象衛星「ひまわり」同様、生活に密着した衛星と言えそうだ。それは「みちびき」が日本版の衛星利用測位システム(GPS)衛星だからだ。グローバル・ポジショニング・システムはカーナビやスマホの位置情報システムで、誰もが日々お世話になっているはずだ。「みちびき」は2010年に初号機が打ち上げられ、今回の2号機のあと、年内に3,4号機が加わり、4機体制となる。
現在のGPSは、アメリカの衛星によるサービスを受けているもので、地球全体をカバーするため、数㍍もの位置誤差が生じる。カーナビで、時折道路でないところを走っている図が現れるのは、この誤差によるものが大きい。
「みちびき」は日本とオーストラリアの間を8の字を描くような軌道を取って飛行し、日本上空での飛行時間が長い。そのため4基揃うと位置の誤差は、わずか数センチだという。車の自動運転、農業や建設現場での無人重機のコントロール、ドローンを活用しての物資輸送、さらに子供や高齢者の見守りなど、精度が上がることでのメリットは計り知れない。内閣府によると2020年の時点で、その経済効果は2兆円にもなるという。「みちびき」は2023年までに7機体制となり、山間部や超高層ビルの間などでも一層正確な位置提供が可能となる。