スーパーの目玉商品などでお馴染みの、ビールや発泡酒の安売りが、酒税法の改正で来月から姿を消す。スーパーや酒の量販店では「今のうちに」と買いだめに走る姿も見られる。
姿消すビールの特売
量販店やスーパーマーケットなどで毎日のように行われているビールの特売、安い店では発泡酒一缶あたり100円を切る店もあり、町の小売店の仕入れ値を下回る価格で販売しているケースもある。これらの価格は、卸やメーカーなどからのキックバック、販売奨励金を当て込んでのものだ。国税庁では、街の小売店が圧迫されているとして、廉売規制強化を打ち出した酒税法の改正案を昨年成立させていた。
改正案では、酒類の取引基準を新たに設定、利益を度外視した非合理な価格設定は出来ないようにし、違反した場合には酒類販売の免許取り消しなどの罰則を盛り込んだ。この改正酒税法は6月1日から施行される。国税庁によると、町の小売店の割合は平成7年には79%だったが、大手スーパーマーケットなどの特売に対抗できず、次々と店を閉め、平成24年度には31%にまで低下している。来月からは6缶パックのビールは1000円前後から100円~200円アップする見込みで、夏のビールシーズンを前に買い控えが起こる可能性を心配する声も上がっている。
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お酒販売のライセンス
酒類は誰でも自由に販売できるものではなく、国のライセンスが必要だ。小売りの場合は「一般酒類小売業免許」で、このほか通信販売免許もある。もともとこの免許は、役所から言い出したものではなかったが、嗜好品だけに税源になるとした大蔵省(現在の財務省)が所管の官庁となった。従ってライセンスを出すのは現在も所轄の税務署長。酒類の他、日本専売公社がタバコと塩、それにお米やみりんも販売ライセンス商品だった。