認知症となった高齢者を抱える家族が、困っているものの一つが徘徊だ。ちょっと目を離したすきに見えなくなったり、勝手に家をでて、帰る道が分からず行方知れずになってしまう。この様な徘徊者をスマホで探し出そうという実験が進んでいる。
いち早く発見、徘徊で事故にあうケースも防ぐ
スマホでの徘徊者発見に取り組んでいるのは、認知症の人や家族を支援する、認知症サポーターの養成を行っている「全国キャラバン・メイト連絡協議会」だ。協議会では今月、北海道の釧路市でソフトバンクと協力し、スマホのアプリで捜索実験を行った。
捜索に参加した人たちのスマホに、徘徊者役の顔写真や服装、特徴の他、行方不明となった場所の地図や状況などが伝えられた。捜索アプリを通して、情報を共有するとともにリアルタイムで情報交換が可能となり、短時間で徘徊者役の男性を探し出した。
徘徊する人は高齢者とはいえ、足腰が丈夫な人も多く、捜索に当たっている家族らが、思いもかけない距離を歩いてしまう人もいる。しかも交通ルールなどを無視して歩いてしまう人もいて、事故にあうケースもある。高齢者自身に電波発信のスマホを持たせておく方法もあろうが、見慣れないため途中で捨てたり無くしたりすることもあり、今回のような情報交換しながらの捜索は有効な手立てと言えそうだ。協議会では実験を重ね、来年度の実用化を目指している。
雑学ライブラリー
怖い徘徊ドライバー
徘徊するほどの判断力が低下していながらハンドルを握り、痛ましい事故に繋がった高齢ドライバーもいる。家族が常に同乗するなどのケアはなかなか出来ない。オリックス自動車のEver Driveは、車に専用のデバイスを取り付け、急ブレーキ、急加速、速度超過を常に監視し、本人はもとより、回線を通して家族にもリアルタイムで伝えられる「運転見守りシステム」だ。もちろんどこを走行しているかも分かる。これらの指標を確認することで、自分の運転に”衰え“を認識できれば、免許の返納にも納得がゆくだろう。