熊本地震で滑落した巨大岩石が、道路をふさぎ、さらに6月の豪雨が加わって被害が広がり、山間の地区が畑との間が行き来できなくなっていた。風神石(かぜがみいし)と名付けられた巨大石を撤去する手段として考え出されたのが、なんとオークション。誰が考えたのか見事な発想だ。出品したのはこの地区、熊本県御船町水越の地域活性化協議会で、風神石は2400円で落札された。落札したのは県内の建設業の男性で、出品者の意思を組んで、風神石をボランティアで、多額の費用を負担し爆破処理、見事に道路の開通にこぎ着けた。
風神石は再びオークションに
風神石は石灰石で大きな価値は無いが、全体がコバルトブルーに薄っすらとひかり、ブラックライトを当てると美しいという。落札者は細かく砕いた風神石を建立中の観音堂の結界石(踏み入ってはいけない境界を示す石だが、この場合は観音堂の周りに敷き詰められるようだ)に使うとのことだが、水越地域活性化協議会は、落札者から風神石の一部をもらい受け、再びオークションに出品した。いくつかのかけら、それぞれに入札の価格が付いているが、全て水越地区の災害復興に当てられる。
巨大岩石が落ちてきたが、幸い現場は誰もおらず、けがをする人も無かった。風神石と名前が付き、まさに石の神様が、オークションで解決を図る知恵と、それに関わった人たちの様々な絆を用意してくれたように思える。
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風神とは嫉妬深い女神?
水越地域活性化協議会によると、風神石の名前は御船町風土記の風神伝説に由来している。昔鍾乳洞の奥に、醜い顔の女の風神が住んでいた。彼女はイケメンの作神に思いを寄せ、ある日思い切って告白した。しかし作神はつれなかった。起こった風神は洞窟から大風を興して、作神が苦心して実らせた農作物を吹き飛ばしてしまった。困った村人は早速洞窟を訪れ、風神を祀り慰めると風は収まった。ある日一人の女が洞窟へお参りをしたらまた大風が噴き出した。それ以来洞窟のある山の上に祀ってある風神は女人禁制となっている。祭りは二百十日と二十日に行われ、今も男性だけがお参りをしているとのこと。