アメリカのメジャーエアライン、ユナイテッド航空(UA)が、便の変更要請を拒んだ乗客を力ずくで降ろした様子が、SNSの投稿から世界に拡散し、UAは大きな非難を浴びている。
降ろされたのはアジア系の医師?
トラブルがあったのはシカゴからケンタッキー州ルイビル行きのUA3411便。海外メディアによると、オーバーブッキングで座席が足りなくなったため、便の変更が可能な乗客を募ったものの、応じる人がいなかったため、UAが、コンピューターで無作為に選んだ4人に便を替わってくれるよう要請したという。このうちの一人で医師だという人物が強く要請を拒んだため、UAの係員が無理やり機外へ引きずり降ろした。男性が大声をあげて拒否する中、通路を引きずられて無理やり降ろされる様子がネットで公開された。乗客の旅行の目的や緊急度も構わず、無作為に選ぶ方法も驚くが、人権を無視したやり方で降ろしたUAの行為に、世界中から非難が殺到した。
普段のUAのサイトには、オーバーブッキングが発生した際は「お客様には適正で一貫した対応を致します」とされている。またこの件についてCEOは男性と3411便の乗客全員に謝罪するとともに「乗客対応の手順や方針などを4月30日までに見直す」と発表した。
乗せる必要があったのは翌日のクルー?
UAの便名が付いていて、乗客への責任はUAにあるが、運航に当たっていたのはリパブリック航空。現地の報道では、4人を降ろしてまで乗せなければならなかったのは、翌日ルイビルからの便を担当するUAのクルーだとされている。つまりこの4人を送り込まなければ、翌日の便が欠航になってしまう事情があった。それにしてもあの行為は非難されるべきだろう。
機材はエンブラエルE170で、標準座席数は78席の小型機。混み合うことが十分予想される日曜夕方の便で、4人ものオーバーブッキングは予約の取り過ぎだろう。
雑学ライブラリー 日本ではフレックストラベラー制度
JAL,ANAの大手2社は国内線で座席が不足した場合の対応を決めていて、当日便への振り替えは10,000円、翌日便へは20,000円(宿泊費は別途)ないしはマイルの付与と決めている。またマイレージカードなどを持つ顧客に、あらかじめフレックスが可能かどうかの意向を登録してもらい、事前にトラブルを防ぐ手段を講じている。