静岡市の人口が70万人を割った。若年層の人口流出が増えていて、20ある政令指定都市では初めての70万人割れだ。
大都市が人を引き付ける時代は終わったのか?
静岡市は2015年10月の国勢調査では704,989人であったが、一年後の2016年10月の推計では701,803人と3千人以上もの減少を見せていた。人口減はこの後も止まらず、今年4月1日の推計で699,421人となった。静岡市は2005年に隣の清水市と合併し政令市となっているが、市域の人口減は1990年から始まっていた。
人口が減少している政令都市(2015年から2016年のデータ)は何も静岡市に限らず、北九州市、京都市、神戸市、堺市、新潟市、熊本市、浜松市など全体の半数に近い8市もある。人口減の訳はそれぞれ市によって異なるが、鉄鋼など重厚長大産業に支えられていた北九州市は深刻で、一年間に5千人以上の人口減少となっている。
いつの間にか増えていた政令指定都市
1964年の東京オリンピック前は、大都市と言えば東京、大阪、横浜、名古屋、京都、神戸の6大都市と覚えていたが、大都市のステイタスともいえる政令指定都市は今や20もある。政令指定都市は、道府県と同様の権限を持ち、国との交渉も道府県を通す必要がない。
政令指定都市になるには様々な条件があるが、分かり易い一つが人口。地方自治法では50万人以上が指定都市と規定しているが、一つの指針としては100万人以上の人口を擁する都市となっていた。これが自治体合併を推進するため70万人にまで下がったため、2005年以降、静岡を始め境、新潟、浜松、相模原、岡山、熊本と7都市が仲間入りした。
村より小さい市はこんなにたくさん
市となるための人口の目安は5万人であった。しかし地場産業の衰退で、特に地方では多くの市が人口減に頭を悩ます。およそ800ある市の中で5万人に満たない市は270にもなる。(2015年の国勢調査による)
いったん市制をひくとどこまで人口が減っても町や村へのダウングレードは制度がないため、あくまでも市だ。最も人口の少ない市は北海道の歌志内市(うたしない)で、炭鉱の閉山とともに人口の流出が続き、2015年国勢調査ではわずか3,585人。この他、人口一万人に満たない市はいずれも北海道の夕張市(8,843人)、三笠市(9.076人)がある。ちなみに最も人口の多い村は沖縄県の読谷村(よんみたんそん)で39,681人(2016年推計人口)村でありながら歌志内市の10倍を超える。