ロシア第二の都市サンクトペテルブルク地下鉄でのテロ、13人が死亡、多数の負傷者を出した。爆発は走行中に起こったが、運転士は電車を止めることなく駅まで走行した。もしトンネル内で停止していたら負傷者の救助が手間取って、混乱はさらに大きくなっていたと、運転士の判断が称賛を浴びている。
混んだ地下鉄の中での恐怖
今回の事件は混み合った電車、それも逃げ場のない地下鉄での爆発で、考えただけでも身震いがする。爆発の程度や車両のどの辺りで起こったのか詳細は分からないが、映像ではドアが大きくゆがんでいる。もし車両が大きなダメージを被っていたら、走行そのものが出来なくなったり、スピードが落ちたりしていただろうが、幸いにもそれは無かったようだ。推測に過ぎないが、車両の堅牢性が、走行が不可能になるような大きなダメージを防いだ可能性もあるのではないか。
旧ソビエト時代の鉄道車両や飛行機は、効率は悪いが丈夫さだけは折り紙つきだった。事件のあったサンクトペテルブルクの地下鉄2号線で使われている車両(81系列車両)は、ボディはステンレス鋼だが、日本の車両に比べると重さが5トンから10トンほども重いようで、丈夫に出来ているようだ。ただ爆弾は鉄の球が周囲に飛び散る、殺傷能力の高い爆弾で、人がターゲットだったようで、爆発規模は不明なだけに、推論は的外れかもしれない。
トンネル内での火災はそのまま走れ
サンクトペテルブルクの地下鉄では、火災などが起きた際には途中停車はせずに駅まで走ることがルール化されている。これは日本の地下鉄もおなじだ。
JRが国鉄だった時代は、たとえトンネル内でも、火災を発見したら直ちに停車が規則とされていた。1972年に福井県内の北陸トンネル(13,870m)で列車火災が発生し、運転士は規定通りにトンネル内で列車を停めた。このため乗客、乗務員30名が逃げ遅れて一酸化炭素中毒で死亡した。これを機にトンネル内での火災は、途中停車せず、トンネルを抜けるまで運転することにマニュアルが変更された。
交通機関で不特定多数の市民を狙ったテロは許しがたい。
May they rest in peace.