正露丸に36年ぶりの新製品が生まれる。近日発売される「正露丸クイックC」はカプセル剤で、正露丸特有の強い臭いは抑えられている。
麻薬と間違えられたか?入国で説明
臭いの中身は木クレオソート。ブナや松、杉など天然の樹木から精製抽出したもので、正露丸の主成分だ。どこの国の空港だったか忘れてしまったが、入国する際、友人の荷物からあの正露丸の臭いが漂い、税関で「怪しい薬」ではないかと事情を聴かれたという。新製品はこの手の心配は無用の様だ。しかし「あの強烈な臭いがないと正露丸をのんだ気がしない」と言う声も聞かれそうだ。またカプセルだけに、これまでの正露丸のように歯に詰めて虫歯の痛みを抑えることはできそうにない。
同じクレオソートの名称がついているが、木材の防腐剤となる石炭系クレオソートとは全く別物だ。
正露丸の歴史は日露戦争から
正露丸が生まれたのは1902年(明治35年)。1904年に日露戦争が勃発し、異国の地に派遣される兵士に、食あたりや水あたりによる下痢や胃痛を緩和するため常備されたのがこの薬で、兵士に服用が義務付けられていた。従ってこの時の名称は忠勇征露丸。“せい”の字が正しいではなく、征服の征、露はもちろんロシアの事だ。そして軍隊には欠かせないラッパのマーク。
正露丸の効果は解毒作用と思いこんでいる人もいるようだが、実際は腸の過度の蠕動運動を抑えると伴に、腸内の水分の吸収を促して下痢を抑える。だからストレス性の下痢にも効く。36年ぶりの新製品は来月発売される。