WHO(世界保健機構)は抗生物質が十分に効かなくなり、感染することで重篤や死に至る12種の細菌リストを発表した。世界を上げて早急な対策が必要だとしている。
ピロリ菌やサルモネラ菌も
リストでは細菌の危険性を“重要”、“高度”、“中程度”の3つのカテゴリーに分けて発表した。我々にとってもポピュラーな、ピロリ菌やサルモネラ菌も“高度”のカテゴリーに入っているが、最も重大な危険性を持つ“重要”に分類される菌は、多剤耐性アシネトバクター菌、多剤耐性緑膿菌それにカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の3つだ。いずれも聞きなれない細菌だが、例えばアシネトバクターは通常、土壌など自然環境の中にも存在して、普通は人への感染においても、重い病気に侵されて免疫力が大幅に低下している患者に影響する程度であった。しかしこれらのバクテリアが他のDNAを取り込んで強い薬剤耐性を持つ菌へと変化しているという。同じく、薬剤のカルバペネムやセファロスポリンなどの抗生物質に耐性を持つ、“マルチ薬剤耐性バクテリア”の抵抗性は益々強くなってきている。WHOは既に治療の手段は尽きつつあるとしており、世界を上げての早急な研究が必要だとしている。
VXより恐ろしい
食中毒を引き起こすサルモネラ菌やカンピロバクター、胃潰瘍などの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌などもこれまで有効とされていたフルオロキノロンなどの薬剤への耐性を持つようになってきていて、恐ろしいバクテリアのカテゴリーに入った。薬剤耐性菌の爆発的感染となると危険性はVXの比ではない。