小樽の沿岸にニシンの到来を告げる「群来(くき)」が今年初めて見られた。今年の群来は例年より遅くなっている。
大漁の予感?海面がミルク色に
群来とは、産卵のため群れでやってきたニシンの雄が出す精子で海面が白く濁る状態を指す。小樽の隣の余市(よいち)町にある北海道中央水産試験場のサイトによると、産卵に適した水温は5度前後だが、今年は日本海沿岸の水温が2度前後と低く、ニシンが産卵をためらっている状態が続いていた模様で、群来がいつもの年より遅れていた。
群来が見られると、ニシン漁はにわかに活気付き、網を入れては揚げての繰り返しで、船は漁場と港をピストン往復する忙しさがやって来る。
群来はなぜ起きる
群来は大漁のニシンが一斉に産卵行動をするために起きる。雌は卵を海藻に産み付けるが、藻が密生する藻場は限られている。更に藻にしっかりと卵を固着させるためには、穏やかな海が必要だが、冬の日本海はいつも荒々しく、産卵に適した凪ぎの日は限られている。そのような訳でニシンの産卵はある一定の条件の時に集中するのだ。
ニシンの大漁に沸いた明治から昭和にかけては、押し寄せるニシンで海面がまるで盛り上がるように見えたという。北海道の日本海沿岸の町には、今も“やん衆”と呼ばれた出稼ぎ労働者の宿となったニシン番屋や、親方が建てたニシン御殿が残されている。
参考:道立中央水産試験場HP
群来の映像は小樽市HPで https://www.city.otaru.lg.jp/