アメリカの次期大統領ドナルド・トランプ氏は自身のツイッターで「ボーイング社で次期、大統領専用機を製造中だが、コストは40億ドル(約4500億円)をこえて法外だ。Cancel order!キャンセルだ」とかみついた。
今の専用機は四半世紀経過のベテラン機
現在の大統領専用機は、ブッシュ(父)大統領の1990年から就航している機体で、クラシック・ジャンボと呼ばれる747-200がベースになっている。さすがに古びてきて、最新型の747-8をベースにした新たな専用機を製造中だ。
アメリカの最高司令官が乗る機体だけに、エアラインとは違い特別な電子機器や通信リンクが供えられている。そのため通常のカタログ価格とは大きくかけ離れたものになるだろうが、トランプ氏が上げた40億ドルとの価格もいったいどこから出た数字か不明のようで、ボーイング社もホワイトハウスも首をかしげている。
雑学ライブラリー
エアフォース・ワン
大統領専用機は、“エアフォース・ワン”のコールサインで知られるが、このコールサインは機体に固有のものではなく、大統領が搭乗しているときに限られる。ケネディ大統領が暗殺された時、当時副大統領のリンドン・ジョンソン氏が飛行機の中で大統領宣誓を行った。その時点から、コールサインはエアフォース・ワンとなっている。
日本の政府専用機は2019年に、現在の747-400から新しいボーイング777に替わるが、こちらは首相など政府関係者や皇族が乗る任務飛行の場合に限りコールサインはJapanese Air Force+ナンバーとなる。
トランプ氏と飛行機
トランプ次期大統領のプライベートジェット「トランプフォース・ワン」は11月17日のこの欄でご紹介したが、トランプ氏はかつて航空会社も経営していた。1989年に、当時経営が行き詰っていた航空会社を飛行機や空港の施設もろとも買い取って、トランプ・シャトルと名付け、ワシントンDC、ニューヨークボストンなどに就航した。
トランプ氏好みの金ぴかインテリアに、ワシントン~ニューヨークのわずか一時間ほどの飛行にも関わらず、豪華なサービスを売り物にしたが、他のエアラインや鉄道との競争に勝てず、トランプ氏はわずか3年で放り出してしまった。